【本書の内容】
警察活動の現場で生じる疑問について,違法事例・適法事例を踏まえて,分かりやすく解説する。サイバー犯罪関連の問題はもちろん,刑訴法,警職法から通信傍受法まで,幅広く扱う。
【本書のポイント】
●この一冊で,現場警察官に求められる瞬時の判断力が身に付く!
捜査現場において,執行務の適法性判断に迷う警察官に送る最良の一冊。「現行犯逮捕における実力行使の限界」,「令状による捜索の限界」など,現場で生じる疑問について,違法事例・適法事例を踏まえて,分かりやすく解説。
●サイバー犯罪関連の問題にも深く言及!
「リモートアクセスに係る差押えをするには?」「電磁的記録を差し押さえるには?」「差し押さえたPCやスマホの解析は?」などの留意点に言及し,現場捜査能力の向上に資する!
●刑訴法,警職法,通信傍受法など,幅広く適正な執行務のポイントを把握!
刑訴法上の任意・強制捜査に加え,警職法上の行為(職務質問/所持品検査/保護/避難等の措置/犯罪の予防及び制止/立入/武器の使用)に関する問題を網羅! 通信傍受法の改正にも対応。
- 著者
- :伊丹俊彦(弁護士,元大阪高等検察庁検事長)監修
倉持俊宏(福島地方検察庁次席検事)
細川充(高松地方検察庁刑事部長)
山口貴亮(法務省大臣官房司法法制部参事官・検事)
山口修一郎(内閣官房副長官秘書官・検事)
栗木傑(法務省大臣官房秘書課付・検事)
渡邊真知子(法務省法務総合研究所総務企画部付・検事)
三尾有加子(神戸地方検察庁尼崎支部検事)
- 定価
- :¥2,640 (本体 :¥2,400)
- ポイント
- :24 P
- 発売日
- :2017年05月
- ISBN
- :978-4-8037-2486-8
- Cコード
- :C3032
- 判型
- :A5 並製
- ページ数
- :432
目次
はしがき
凡 例
第1 章 サイバー犯罪関連
1 電磁的記録に係る記録媒体の差押え 3
コンピュータ等のデータを差し押さえる場合には,どのような方法があり,どのよう な点に留意すべきか?
2 電磁的記録に係る記録媒体の捜索・差押えの執行や関係者に係る協力等 9
コンピュータや外付HDD等に記録されているデータを押収する際に留意す
べき点は何か?
3 電気通信回線等で接続している記録媒体からの複写方法 15
差し押さえるべき物であるコンピュータに対象のデータが保存されておらず,外部の記録媒体に存在する場合はどうしたらよいか?
4 リモートアクセスに係る差押えを実施する上での問題 21
リモート差押許可状(刑訴法218条2 項,219条2 項)に基づいて,外国事業者が運営し,海外に存在するサーバに保存されている電磁的記録を電子計算機に複写してこれを差し押さえることができるか?
5 記録命令付捜索・差押えに係る問題 27
電磁的記録の保管者に協力を求めて電磁的記録を差し押さえる方法はどのようなものか?
6 大容量外部記録媒体の押収 33
大量のUSB メモリーやSD カード等の内容を確認することなく一括して差し押さえることが許されるか?
7 差し押さえたPC の解析 39
差し押さえたPC を解析する場合の留意点は?
8 差し押さえたスマートフォン等の解析 45
差し押さえたスマートフォン等の携帯電話機を解析するに当たっての留意点は?
9 通信傍受・会話傍受に関する問題 51
通信傍受はどのような場合に実施できるのか,また,通信傍受を実施する
に当たっての留意点は?
第2 章 職務質問,自動車検問,所持品検査
10 職務質問の要件 59
警察官はどのような場合に職務質問をすることができるか?
11 職務質問のための実力行使① 65
警察官は職務質問のために相手方を停止させる際,どの限度の実力行使が許されるのか?
12 職務質問のための実力行使② 71
警察官は職務質問のために車両を停止させる際,どの限度の実力行使が許
されるのか?
13 職務質問の継続のための実力行使 77
警察官は職務質問を継続するために,その場から立ち去ろうとする相手方をどの程度留め置くことができるのか?
14 自動車検問の適法性 83
自動車検問は許容されるのか?
15 所持品検査の限界① 89
職務質問に伴う所持品検査の限界をどのように考えるべきか?
16 所持品検査の限界② 95
職務質問に伴う所持品検査の限界をどのように考えるべきか?
17 所持品検査における実力行使 101
所持品の隠匿行為を制止する際の有形力の行使はどこまで許容されるのか?
第3 章 保護,避難等の措置,犯罪の予防及び制止,立入,武器の使用
18 保護措置の適法性(泥酔・中毒) 109
精神錯乱者や泥酔者に対して保護措置が許される要件は何か?
19 避難等の措置の不行使に関する適法性 115
避難等の措置に関する権限不行使が違法となるのはどのような場合か?
20 制止行為の限界 121
警職法5 条による「制止」が許容されるのはいかなる場合か?
21 立入行為の限界 127
警職法6 条による立入が許されるのはいかなる場合か?
22 警察官の武器使用の要件等 133
警察官はどのような場合に武器を使用することができるか?
23 警察官の武器使用の違法性 139
どのような場合に警察官が武器を使用して人に危害を加えることが許されるか?
第4 章 任 意 捜 査
24 任意同行の要件 147
任意同行が許されるのはどのような場合か?
25 任意同行における有形力行使の限界 153
任意同行の際,有形力行使はどの程度許されるのか?
26 任意同行後の退去の制止 159
警察署に任意同行し,取調べ中であった被疑者が,退去しようとした場合,これを制止する行為は,どの程度許されるのか?
27 任意同行と逮捕 165
被疑者の任意同行が実質的逮捕と評価されるのはどのような場合か?
28 承諾による車両の捜索の限界 171
承諾による車両の捜索の問題点は何か?
29 尿の任意提出 177
尿の任意提出にはどのような問題点があるか?
30 長時間の取調べ 183
長時間にわたる被疑者の任意取調べは許されるか?
31 宿泊を伴う取調べ 189
宿泊を伴う被疑者の任意取調べは許されるか?
32 おとり捜査の限界 195
警察官はどのような場合におとり捜査を行うことができるか?
33 任意捜査としての写真(ビデオ)撮影の要件 203
任意捜査の段階での被疑者等の写真やビデオ撮影は許されるか?
34 採尿のための警察署取調室への留め置き 209
採尿のための警察署取調室への留め置きはどの程度許されるのか?
第5 章 逮捕,勾留
35 現行犯逮捕の要件(明白性) 217
現行犯逮捕の要件である犯罪及び犯人の明白性は,どのような場合に認められるか?
36 現行犯逮捕の要件(必要性) 223
現行犯逮捕における逮捕の必要性は,どのような場合に認められるか?
37 現行犯逮捕における実力行使の限界 229
現行犯逮捕の際に被逮捕者が抵抗した場合,どの程度の実力行使が許されるか?
38 準現行犯逮捕の要件 235
どのような場合に準現行犯逮捕が認められるか?
39 準現行犯逮捕の限界 241
準現行犯逮捕の要件である時間的接着性が認められるためには,犯行とどの程度近接している必要があるか?
40 共謀共同正犯・幇助犯・教唆犯の現行犯逮捕 247
共謀共同正犯,教唆犯,幇助犯の現行犯逮捕は,どのような場合に許されるか?
41 緊急逮捕の要件 253
どのような場合に緊急逮捕が認められ,緊急逮捕した後はどのような手続を行わなければならないか?
42 逮捕の手続面の適法・違法 259
逮捕状により逮捕するに当たって,逮捕の現場で,どのような点に留意すべきか?
43 逮捕の違法と勾留 265
実質的には逮捕と判断されるような違法な任意同行とは何だろうか?
第6 章 捜索,差押え,検証
44 別件逮捕・勾留と余罪取調べの限界 271
別件逮捕や勾留における余罪の取調べの限界にはどのようなものがあるだろうか?
45 一罪一逮捕・勾留の原則 277
一つの罪では一回しか逮捕や勾留をすることができないが,例外はあるか? あるとすればどのような場合か?
46 令状による捜索の限界① 285
令状記載における捜索すべき場所の範囲の限界はどうなのだろうか?
47 令状による捜索の限界② 291
令状による捜索・差押えにおける時間的な限界についてはどのようなものがあるだろうか?
48 令状による捜索の限界③ 297
捜索・差押えの際に居合わせた第三者に対する捜索はできるのか?
49 令状による捜索の方法の限界 303
令状執行時における呈示前の立入りや鍵やガラス戸の損壊は許されるのかどうか?
50 令状による差押えの限界 309
差し押さえるものの範囲について,あらかじめ気を付けるべきこととは何だろうか?
51 逮捕に伴う捜索・差押えの場所的限界 315
逮捕に伴って許される捜索・差押えにおける「逮捕の現場」とはいかなる場所的範囲をいうのか?
52 逮捕に伴う逮捕現場以外での被逮捕者の所持品への捜索・差押え 321
逮捕に伴う逮捕現場以外での被逮捕者の所持品への捜索・差押えは許され
るのか?
53 別件捜索・差押え 327
捜査中の本件事件の証拠収集を目的としたより軽い別罪で捜索・差押えを行うことはできるのか?
54 梱包物の内容の確認方法 333
荷送人及び荷受人の承諾を得ることなく宅配便荷物の外部からエックス線検査を実施し,その内容物の射影を観察することは許されるのか?
第7 章 被疑者の防御
55 弁護人選任の申出への対応 341
逮捕した被疑者から,弁護人を選任したいとの申出を受けた場合には,ど
のような点に留意すべきか?
56 接見交通権の確保と接見内容の聴取 347
弁護人等(弁護人及び弁護人となろうとする者)から被疑者との接見を求められた場合に,どのような点に留意して対応すべきか?
第8 章 先行手続の違法と証拠能力
57 先行手続の違法と証拠能力① 355
警察官が収集した証拠が違法収集証拠として証拠能力が否定されるのはどのような場合か?
58 先行手続の違法と証拠能力② 363
先行手続の違法が,後行手続の適法性に影響し,後行手続において収集した証拠が先行手続の瑕疵を引き継ぐものとして違法収集証拠として証拠能力が否定されるのはどのような場合か?
第9 章 そ の 他
59 外国における捜査について 377
外国に存在する証拠を入手する場合にどのような点に留意すべきか?
60 DNA型鑑定の留意点 385
DNA型鑑定を予定した捜査活動では,どのような点に留意すべきか?
61 令状のないGPS捜査 391
GPS発信器を被疑者等の使用する車両に取り付け,その位置情報を取得す
る捜査を実施するに当たっての留意点は?
判例索引 399
監修者,著者紹介 405